友達の絆

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私も、 似たような食べ方をしていたのだろうか? 「地酒の美味しいのが、 やっと手に入ったので、 どうかご賞味して下さい」と言って、 お父さんが、 それぞれ模様が異なり、 欠けてわずかに泥がついた湯呑をだしてきた。 そこで、 我ら四人で早速宴会を催すことにした。 これもヒビだらけで、 あちこち欠けている特大の器には、 多くのミミズが美味しそうに蠢き回り、 またもや涎がでた。 昔話に花を咲かせているうち、 肝臓機能が、 最近、 低下してきたのか、 昔より酒が早く回り、 私は睡魔に襲われた。 ぼんやりと話を聞きながら、 記憶の底近くに埋没させていた、 意識と無意識とが拮抗しあう場所に、 ユラ、 ユラ、 ユラ、 ユラと漂いながら揺れ動く、 意識とも無意識とも判別できないある記憶の群れが、 突然、 脳裏で息を吹き返した。
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