あの日からの悪夢

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ハッ、ハハ、フハハハハ・・・ 「やったよぉ~、父さん、母さん、鈴乃。」 乾いた笑い声が響くのは、紅蓮の如く真っ赤に染まった教室だった。 いつも通り、怜と教室に入った。 そこに、「さっさと、席に着けー。」と、言いながら、入って来た先生。 俺の母親の弟である、南田康太。 身長177cm、童顔で目が大きく2重、男の僕から見ても、可愛い顔をしてる。 それでも、昔はヤンチャしていたらしく、暴走族の頭をやっていたらしい。 母に聞いた話では。 そんな彼は、歴史が好きらしく、歴史の担当をしている。 「おい、秀翔!!話を聞いてるのか?」 「あっ、すいません。聞いてませんでした。」 「お前。ちょっと後で来い、俺の所まで。」 「分かりました。」 そう、学校では、身内だと気付かれないよう生活している。 今日の時間割の1時間目は、体育だからサボることにして、屋上に向かった。 そこに、煙草を吸っている康太さんが居た。 「よっ、秀翔。また、サボりか~?別にイイけどよ~。」 「なんだ、康太さん居たんだ。」 「なんだとは、なんだよ!まぁ、いい。お前、このところ、変だぞ。何か、あったのか?」 「何かとは、何ですか?」 「こっちが、聞いてんだよ!!ほんまに、生意気な奴やな~。可愛気無いわ~。」 「康太さん、男に可愛気を、求めないでください。それで、呼び出したのは、何ですか?」 「秀翔。お前が、心配なんだよ。」 そう、僕の肩に手を置いて、不安気な顔で言った。 「康太さん、大丈夫ですよ。何もありません。ご心配おかけしてすみません。」 僕は、笑顔で答えると、一瞬驚いた顔をし、すぐに、笑顔で「そうか。でも、何かあれば、俺を頼るんだぞ?俺では、頼りになるか分からないがな。」 それだけ言い残して、屋上から去っていった。 康太さんの居なくなった屋上は、やけに広く感じた。 空気が張り詰めたように、ピンッとしていて、嵐の前の静けさのようだった。 それを尻目に、寝転んだ僕は、夢の中に深く深く落ちていった。
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