【2】

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【2】

彼は自転車を止めるとわざわざ私のところまでやってきた。 近くで見ても知らない顔。クラスが別か、それとも学年が別か。 別に観察したいわけでも、彼が誰でも正直どうでもいい。 ただ大丈夫か、と聞かれたことに対して返事が出来ずにいた。 他人から見てそんなに私は危なく心配される対象になっていたとは自覚なしだった。 「平気。ただ帰る前にここにいたかっただけ」 「ふーん。泣きそうだったのは見逃した方がいい?」 「・・・泣きそう?」 泣きそう?私が泣きそうだったの? 両手で頬を触ってみる。頬のどこも冷たくなく目の周りも触ってみたが涙が流れる気配もない。 涙の確認中だった私を見て彼は笑った。 バカにしている笑い方ではないと印象を受けたので怒りは湧いてこないけど ただ彼の言葉や行動に訳が分からないでいる。 大丈夫か、泣きそうだった、そして私を見て笑ってること。 なかなか頭が追い付かない。
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