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2015.1.9 17:27
その空間にはいつも、悲喜交交の喧噪が満ちていた。
オフィス街の中心部にあって、一際目を引く高層ビル。その上層階を占有する中堅投資銀行のディーリングルーム。
フロア一面に所狭しとデスクが並び、夥しい数の液晶ディスプレイ、電話機と取引専用の端末が配された空間を、様々な肌の色のディーラー達が慌ただしく動き回る。
窓外に目を向ければ、宵闇に輝き始めた街並み。だが、そんな眺めに価値を見出す人間など、ここには存在しない。
オレの正面、そして左右に一枚ずつ設置された液晶ディスプレイ。
それがさらに縦にもう一段並んで、合計六枚の画面には日経平均株価、世界の株式市場の各種指数に加えて、主要通貨レートのチャートを表示させている。
直近の二十時間、こいつらだけがオレの世界の全てだった。
不規則に明滅を繰り返す数値、一定間隔で描かれていくロウソク足。それらから探し求める数値を拾って、手元のメモに殴り書きしていく。
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