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「モーニン、Moon,Milk,Overtrip。管制塔応答せよ。 …また混線か。どこの誰が聞いてるのか知らないけど、いい1日をね」 僕は日課をこなし大きく伸びをした。今日もレスポンスはノイズのみ。慣れっこ。 いい朝だ。部屋の隅に積もったTシャツの山から大して気に入ってない1枚を引っこ抜き、色の落ちたコンバースの紐を締める。 アパートの外に出ると同時にコロニーの屋根が揺れた。アンドロメダからの高等市民様を載せた旅客機が上空をよぎったらしい。 乳白色のコロニーの屋根から見えるどこまでも続く紺色。差し込むネオンライトの赤青黄。実にいい朝だ。アパートの階段を滑り降りると先客がいた。 「一本ちょうだい」 ライカ。僕の友人、寡黙なシャブ中。 「ウィンストン。地球産?」ライカは首を振る。 「じゃあまた月面産のバッタもんだ」ライカは頷く。 「たまには地球産仕入れてよ」振る。 「冗談。調子は?」振る。 「いい朝なのに」振る。 僕らの燻らせた煙はネオンの瞬きを帯び、魔法みたいにどこかへ消えた。     
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