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「ふっ、さすが黒田。全部キレイにボケを回収するとはツッコミのかがみ」
「話を反らすな」
黒田は6年生になって初めて同じクラスになった男子だ。それまで存在を知らなかったのは、こいつが四年生の頃に転校してきたせいと、他人に興味が沸かないあたしのせいだろう。
見ての通り、あたしはゲームばっかりの超インドアかつオタク女子なので、自ら他人に関わろうという気はない。しかし、わりと友達には恵まれているほうで、学校で一人ということは今まで皆無だった。いやぁ不思議だなぁ。
ちなみに黒田は、わりとモテる。
鼻はすっと通っていて、切れ長の瞳は人目を惹くものがある。男のくせに羨ましいほど髪の毛はサラサラしているし、睫毛も長い。
おまけに成績は案外優秀で、スポーツもそれなりにできる。ここまで言うとアニメや漫画に出てくるようなただのイケメンだが、事実なのだ。
世の中にも、というより、あたしの周りにそんな奴がいると思うとなんだか腹立たしい。自分との差が歴然としていて、負けず嫌い代表からすると憎しみ以外なにもない。
だからか、なんとなく黒田のことは遠ざけてしまうのだ。
もちろん、理由はそれだけではないことは分かっている。
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