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ともだち
「…………ん?なに見てんの?ニヤニヤして」
「いやー、ほら。これ、懐かしいでしょ」
「うわ、ほんとだ。よく持ってるなーお前」
「んー、そりゃあね」
あたしたち二人は、年末の大掃除で出てきた写真をこたつの上に並べて眺めていた。もうこれが十年以上も前のことなんて、信じられない。
「若いねー」
「そら小学生だからなー」
若いというより、もはや幼い。だけど、今よりも世界は確実に広かった。背が高くなるにつれて、天井は低くなるものだ。
だけど、あの頃からずっと変わらないものがある。
「んふふふふふふふふ」
「え、なに。気持ち悪いんだけど」
「いやーね、あの頃は楽しかったけど、今のほうがずっと幸せだなぁって」
今こうして、またあなたと一緒にこたつに入って、同じ温もりを感じていることとか。あの頃の写真を二人で眺められるようになったこととか、全部。
その全部を思うとニヤニヤが止まらなくなる。
「え、いや、気持ち悪いんだけど」
「なぜ二回も言った」
「大事なことは何回も言わないとな」
「ほー、へー。あなたから大事なこと、ほとんど言われたことないけど?」
「気のせいじゃね」
「おいこの野郎」
こうして話しているとつくづく思う。
あたしたちはあの頃から年齢以外、なにも変わっていないんじゃないかと。
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