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曲はいつの間にかジャズ調のファランドールになっていた。
「でも…実はカルメンはアキなんだよね。
」
ん? とマスターが理央に向き直る。
「俺もマスターもさ、
さっきの 「こんなピアノに興味ない」 って言い方にムカついてただけなんだよね。
」
マスターが珍しくニヤリと笑った。
ちょっと怖いほどの色気を漂わせる表情に、
『それは秘密だよ。
』 と言われたような気がして、
理央は少し背筋に寒いものを感じた。
理央がもう一杯おかわりを頼み、
店内にいつものざわめきが戻ってきた頃。
鼻先にふわりと夜の街の匂いがして、
誰かがドアを開けたのかと何気なく見ると、
そこにマサが立っていた。
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