第1章

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そっぽを向いた先ではアキがピアノを弾いている。 今日はクラッシック好きの客が多いようで、 リクエストもドビュッシーの 『月の光』 からショパンの 『ノクターン』 へと流れていた。 「こんなピアノ…。 」 後ろからマサの声が聞こえた。 「え?」 聞き間違いでなければ本日二度目の 「こんなピアノ」 発言だ。 「こんなピアノ…。 俺、 初めて聞いた。 なんでこんなに音がキラキラしてんの? ピアノが違うの? 弾いてる彼が凄いの?」 「あ…それは…。 」 振り向くとマサが目を輝かせた子供のような顔でアキの演奏に惹きこまれていた。
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