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「それは。
どっちもだけど、
弾き手の技術とセンスのほうが大きいかな。
ね? マスター。
」
マサのほうを向いてマスターが微笑みながら控えめに頷く。
「へぇ…。
凄いんだねぇ、
彼。
」
「うん。
」
大手商社の営業マンで、
年中海外を飛び回って大きな商談をモノにしてくる男が、
最近重責な仕事を任されるようになったと言って、
数ヶ国語を巧みに操り自宅からも各地に電話してるこの男が、
アキのピアノに目を潤ませている。
「お前だって…凄いのに。
」
鼻にかけたイヤミな男になってもおかしくないのに、
どうしてこんな純粋でいられるのだろう。
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