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横になっているマサに背中合わせで座っていた理央がゴロンとベッドに転がった。
背中から伝わる互いの体温と早い心音。
顔を見せられないのはもうお互い様で、
理央も自然と腕で目元を隠していた。
「俺、
も…。
」
※ ※ ※
「どうしたのリオ。
顔が赤いよ?」
はっと我に返り、
理央が慌ててメガネの中央を中指で押し上げると、
アキが隣でおじぎをするように理央の顔を覗き込んでいた。
「そ、
そう?」
「あー。
な~んか思い出してたんだ~。
ズルイよー、
教えてくれないくせに~。
」
理央が物思いに耽っている間に、
アキはすでにタキシードに着替えていた。
マスターに贈られたミッドナイトブルーのタキシード。
シルクのアスコットタイにはサファイアのタイピンが品良く落ち着いた輝きを放っている。
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