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オレは立ち上がると、火の向こう側に回り
獣女の肩を足で揺すってみるが
それでも動かなかったので、足でそいつをひっくり返した。
薄く開いた四つの眼。
裂けた口は だらしなく開き
中から長い舌がはみ出している。
札の下の胸は鼓動を止め、呼吸もなかった。
なんか、ずいぶん 呆気ないな...
オレは左肩に獣女を担ぐと、右手にシャベルを持って広場の外れに移動する。
冷たくなってきた その身体は、眠った時のような
だらりとした重さだった。
宿泊施設やロッジから離れた 森に近い側に獣女を降ろすと、その身体が収まるくらいの穴を掘る。
地面は固く、少し掘る度に石に当たり、なかなか掘り進めれなかったが
空が白み出した時にようやく堀り上げ、その中に獣女を収めた。
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テントの近くのカマドの火は消えていたが
念のため水をかけて、囲った石を元に戻し
借りたテントを畳んだ。
空はもう、ずいぶん明るくなってきた。
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