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朋樹は 端正な顔をしている。 形の良い眉の下には 二重瞼の長い睫毛に、黒眼の色が深い眼。 整った鼻に、キリッとした唇。 一言で言えばシャープな印象だ。 背はオレよりちょっと低いが、足が長く均整が取れており、ガキの頃から遠巻きにキャーキャー言われ よくモテていた。 「16歳の女の子なんだけどさ。 夏の初めくらいから 行方不明らしい」 あ、なんかそんなニュースがあったな。 顔写真とかも出て、かなり騒がれていた。 でも夏の初め って... じゃあ、もう三ヵ月くらいになるのか。 朋樹は 昨日 山を下りると 仕事を取り次いでくれる沙耶ちゃんの店へ行き、その依頼の話を聞いた。 「霊視の依頼か?」 もしそうなら、沙耶ちゃんへの依頼じゃないのか? 沙耶ちゃんはカードや石などの道具を使った占いもするが、たいていは霊視で視る。 「ああ、最初は沙耶ちゃんが受けたんだ。 店で相談されて、遠隔で視たらしい。 結果は残念なことだったが、まだ依頼者の家族には伝えてない」 「そうか... まあ、いきなり言えないよな。そんなこと」 「それでな、亡くなってるのはわかるのに、遺体がある場所が沙耶ちゃんに視えないらしいんだ。何かに隠されているように、ってな」 おっ、話がオレら向きになってきたな。 オレは運転しながら、黙ったまま話の先を促す。 「でさ、オレも昨日の夜、依頼者のお宅に お邪魔したんだよ。詳しい話を聞きにな。そしたらさ まあ、依頼したご家族も戸惑ってたんだけど 周囲から、警察やご家族にその子の目撃情報が寄せられるらしい。今も」 えっ、どういうことだ? ドッペルゲンガーとかなのか? でも、その子はもう... しかもな、と、朋樹が説明を続ける。 「その子を目撃した人達の中には、小学校や中学からの同級生とか、その子を小さい頃から知ってる近所の人も含まれているらしい」 つまり、人間違いの可能性は低いってことか...
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