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祖母は見えないものが見える人だ。
私がまだ幼い時分、祖母の日課の散歩に付き合わされては「あそこは近づいちゃいけないよ」となんの変哲もない踏切や横断歩道を示して諭された。
そういった場所は、事故が頻発したり不審者が表れたりと妙なことが続く。
祖母はあれこれ言う人ではなかったけれど、時折投げかけられる注意には幼心にも遵守しようと思わせる何かがあった。
その祖母は「ちょっと出てくるよ」と言い残して家を空けたきり、いまだに帰ってきてない。
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