0人が本棚に入れています
本棚に追加
何気なく窓越しに空を見上げた。切れ目ない曇天。
気温は昼間になっても一向に上がらず、あとは闇が広がるのにつれて寒さも増すばかりだろう。
どうにも気が滅入る日だ。
温もりが欲しくなり愛猫の姿を探すが、見当たらない。
ふと、いつだったか祖母が話してくれた話を思い出す。
「あいつは冬になると出てきては、人を飲み込む。犬猫もそうさ。みんな飲み込まれちまう」
道の端には雪と泥が混じって山となり、私はその醜さへの嫌悪を綯い交ぜにして祖母の話を聞いていた。
「もとは人が良かれと思って作ったものなのに、みんな抗えない。いや、人が作ったものだからこそ抗えないのかもねぇ」
そのときが来たのだ。そう確信する。
最初のコメントを投稿しよう!