冬の牢獄

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 何気なく窓越しに空を見上げた。切れ目ない曇天。  気温は昼間になっても一向に上がらず、あとは闇が広がるのにつれて寒さも増すばかりだろう。  どうにも気が滅入る日だ。  温もりが欲しくなり愛猫の姿を探すが、見当たらない。  ふと、いつだったか祖母が話してくれた話を思い出す。 「あいつは冬になると出てきては、人を飲み込む。犬猫もそうさ。みんな飲み込まれちまう」  道の端には雪と泥が混じって山となり、私はその醜さへの嫌悪を綯い交ぜにして祖母の話を聞いていた。 「もとは人が良かれと思って作ったものなのに、みんな抗えない。いや、人が作ったものだからこそ抗えないのかもねぇ」  そのときが来たのだ。そう確信する。
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