幸せの定義

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「…なんと3500円!今なら送料無料!代引き手数料も自社が負担します!」 テレビから流れてくる声に私は釘付けになった。 その料金や送料が無料なところではなく商品に目が止まったのだ。 タバコを吸う手が止まり、水の入った灰皿にタバコを投げ捨てた。 普段テレビを見ない私はたまたま見かけたその商品にとても興味をそそられてしまった。 買う買わないの葛藤すらない。 「買おう。電話番号…。番号。」 急いで携帯電話を手に取り、テレビに表示してある番号に電話をかける。 取引はスムーズだった。 こういったテレビショッピングは初めてだったので、勝手なイメージだが電話は繋がりにくいと思っていたのだ。 待たされることはなく、電話の向こうのオペレーターの方も淡々と話してくれる。 ひとつ気になったのは電話の向こうにオペレーターの声しかしない事だった。 まるで1人しかいないかのように他のオペレーターの方の声も会社の独特の音もしなかったのである。 不思議には思ったが気に留めるほどでもないと思い、私は商品の名前と支払い方法、住所と伝えた。
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