第一話 ひきこもりのスーパーマン

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第一話 ひきこもりのスーパーマン

「ゆうきー!もっとバックだ!もぅちょっと左ぎみに切れー! よーし!そのままオーライオーライ!」 僕の名前は茅野勇気(かやのゆうき)18歳。 この春、高校を無事に卒業し、ここ、三谷運送に就職が内定した。 早くに父親を亡くし、女手一つで僕を育ててくれてた母さんは、この三谷運送で4トントラックのドライバーをしていた。 夜は22時頃に家を出て、帰りはだいたいが翌日の17時くらい。拘束時間は19時間ほどか。 それでも母さんは毎日ちゃんと、僕の為に朝御飯を作ってから出ていく。 その為に、睡眠時間は長くても一日三時間くらいしかない。 父さんが亡くなってからだから… 12年ほどかな。 本当に辛かったと思う。 僕はといえば、けっこう学校の成績もよく、四大への推薦ももらってはいたけど、母さんを早く楽させたくて、進学への道を捨てた。 そしてここ、三谷運送に就職を決めた。 試験も面接も無く、母さんの口利きだけで就職が決まったので、貴重な時間を無駄にすることがなく、すぐに稼ぐことが出来た。 “僕を育ててくれた” と過去形にしたのには理由がある。     
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