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「やっぱり結婚すると、女性は大変ですよね?三角さんの家はどうですか?」
新婦は私に話を振ってきた。ちなみに、私は仕事上は旧姓の三角を使用している。
「大変じゃないことはないですけど、うちは案外うまくやってますよ。夫も家事育児に協力的ですし。こうやって働けるのも彼のおかげかな」
「へえ、すごい理想的じゃないですか。仕事もバリバリして、温かい家庭もあって。私もそんな風になりたいなー」
新婦は少女のように目を輝かせた。
実際はそんなに単純ではないのだが、私はあえて否定しなかった。
こればかりは、いくら人の体験談を聞いても、役に立たないと思うからだ。
例えるなら、このハーブティと同じだ。パッケージを見て、説明文を読んで、店員さんのお勧めを聞いて、最良と思う茶葉を選んでも、実際味わってみた時、どう感じるかは本人にしか分からない。
「ちなみに旦那さんは何やっている人ですか?」
新婦はよほど私のプライベートに興味をそそられたのか、自分の悩みもそっちのけで、質問を重ねてくる。
少し間をおいてから、
「探偵なの」
と答えると、新婦は驚き、目がテンになった。
私はそれを見て、ふふと笑った。
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