第4章 永遠の愛を信じますか?

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「やっぱり結婚すると、女性は大変ですよね?三角(みすみ)さんの家はどうですか?」  新婦は私に話を振ってきた。ちなみに、私は仕事上は旧姓の三角を使用している。 「大変じゃないことはないですけど、うちは案外うまくやってますよ。夫も家事育児に協力的ですし。こうやって働けるのも彼のおかげかな」 「へえ、すごい理想的じゃないですか。仕事もバリバリして、温かい家庭もあって。私もそんな風になりたいなー」  新婦は少女のように目を輝かせた。  実際はそんなに単純ではないのだが、私はあえて否定しなかった。  こればかりは、いくら人の体験談を聞いても、役に立たないと思うからだ。  例えるなら、このハーブティと同じだ。パッケージを見て、説明文を読んで、店員さんのお勧めを聞いて、最良と思う茶葉を選んでも、実際味わってみた時、どう感じるかは本人にしか分からない。 「ちなみに旦那さんは何やっている人ですか?」  新婦はよほど私のプライベートに興味をそそられたのか、自分の悩みもそっちのけで、質問を重ねてくる。  少し間をおいてから、 「探偵なの」 と答えると、新婦は驚き、目がテンになった。  私はそれを見て、ふふと笑った。
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