2520人が本棚に入れています
本棚に追加
「それでは遅くなりましたが、これより柏木君の歓迎会を始めたいと思いまーす。かんぱーい」
本村さんの合図で、みんながグラスを一斉に上げる。
あちこちでカチンカチンとグラスがぶつかる音がするなか、僕のグラスにカチンとグラスが重なった。
「あらためて。ようこそ、営業部第一課へ」
そう言ったのは、隣に座る結城さんだった。
「ど、どうも」
乾杯の後だから一応ビールを口にしたけど、すぐにテーブルにグラスを置いた。
ビールはあまり好きじゃないんだ。
「あーうまっ。仕事の後のビールって最高だよな。
柏木、どんどん飲んで食えよ。
今日の主役はお前なんだから。
これ食べるか? ここの刺身、結構イケるんだ」
そう言って僕の小皿にお刺身を取り分けてくれる結城さん。
別に僕のことなんて、ほうっておいてくれていいのに。
この人、本当に面倒見がいいよね……。
「ねぇ、結城さぁん」
やけに甘ったるい声で結城さんを呼ぶのは、結城さんの左隣に座っている女性。
僕と同じく営業をしている人だ。
「明日ってお暇ですか? ウチの課と第二課の女の子達で海までドライブに行くんですよ。
結城さんも行きませんか?」
最初のコメントを投稿しよう!