第二歩目

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「それでは遅くなりましたが、これより柏木君の歓迎会を始めたいと思いまーす。かんぱーい」 本村さんの合図で、みんながグラスを一斉に上げる。 あちこちでカチンカチンとグラスがぶつかる音がするなか、僕のグラスにカチンとグラスが重なった。 「あらためて。ようこそ、営業部第一課へ」 そう言ったのは、隣に座る結城さんだった。 「ど、どうも」 乾杯の後だから一応ビールを口にしたけど、すぐにテーブルにグラスを置いた。 ビールはあまり好きじゃないんだ。 「あーうまっ。仕事の後のビールって最高だよな。 柏木、どんどん飲んで食えよ。 今日の主役はお前なんだから。 これ食べるか? ここの刺身、結構イケるんだ」 そう言って僕の小皿にお刺身を取り分けてくれる結城さん。 別に僕のことなんて、ほうっておいてくれていいのに。 この人、本当に面倒見がいいよね……。 「ねぇ、結城さぁん」 やけに甘ったるい声で結城さんを呼ぶのは、結城さんの左隣に座っている女性。 僕と同じく営業をしている人だ。 「明日ってお暇ですか? ウチの課と第二課の女の子達で海までドライブに行くんですよ。 結城さんも行きませんか?」
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