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幸平を待つ時間がすごく長く感じて、もうじっとしていられなくなって。
ご両親には、ちょっと外を見て来ますって言って家から出たんだ。
出てみたら、星がすげー綺麗で。
せっかくだから、星を見ながらブラブラと河原を歩くことにしたんだ。
散歩しながら考えるのは、幸平のことばかり。
お前がいつでも戻って来られるように、人事に掛け合ったり、お前の取引先に訪問したり。
お前の家族や俺の家族に、なんとか受け入れてはもらったけど。
肝心のお前が俺の元に戻って来なかったら、全てが台無しになってしまう。
そんなことにならないって信じたいけど。
しばらく会っていない間に、俺に対する幸平の気持ちに自信がなくなって来てたんだ。
早く幸平に会いたいのに、会うのが少し怖い。
そんなことを思いながら歩いていたら、小さなパーキングに一台の車が見えた。
よく目を凝らしてみたら、運転席と助手席に誰かが乗っているみたいだった。
もしかしてカップルか?
邪魔しちゃ悪いよなって思った次の瞬間。
車の中から、幸平の声が聞こえた気がしたんだ。
それも悲鳴に近いような声で。
まさか、車の中にいるのは幸平?
そう思って車に向かって走り出したら。
お前が、俺の名前を呼んだんだ。
“助けて。
龍矢さん”って……。
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