第二十一歩目

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「あの野郎が幸平に手を出そうとしたことは、許せないけど。 でも幸平が俺を呼んだことで、全てが報われた気がしたんだ。 幸平は間違いなく……。 今でも俺のことが好きなんだって……」 龍矢さんはそう言って、柔らかく微笑んだ。 「はい、そうです……。 僕は……。 龍矢さんの元から去ろうって決めた時も、その後も。 ずっと龍矢さんが好きでした。 一生懸命忘れようとして、でも出来なくて苦しくて……。 そんな時に氷室君に付き合って欲しいって言われて。 この手を取ったら、どれだけラクになるだろうって流されそうになったけど。 やっぱりそんなこと、出来なかった……」 龍矢さんは僕が安心して戻って来られるように、こんなにも準備してくれていたのに。 一瞬でも氷室君に甘えようとした自分が、許せない……。 「お前がいなくなってからの時間は、本当につらかった。 それで、痛いくらいによくわかった。 俺は本当に心から、幸平が好きなんだって……。 もう絶対に。 何があっても絶対に……。 俺の元からいなくならないで……っ」 そう僕に訴える龍矢さんの瞳にキラリと光るものが見えて。 そんな龍矢さんを見ていたら、なんだかたまらなくなって。 僕はベッドから立ち上がると、彼の元へゆっくりと近づいて。 立ったまま、ぎゅっと。 龍矢さんを抱きしめた。
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