2520人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの野郎が幸平に手を出そうとしたことは、許せないけど。
でも幸平が俺を呼んだことで、全てが報われた気がしたんだ。
幸平は間違いなく……。
今でも俺のことが好きなんだって……」
龍矢さんはそう言って、柔らかく微笑んだ。
「はい、そうです……。
僕は……。
龍矢さんの元から去ろうって決めた時も、その後も。
ずっと龍矢さんが好きでした。
一生懸命忘れようとして、でも出来なくて苦しくて……。
そんな時に氷室君に付き合って欲しいって言われて。
この手を取ったら、どれだけラクになるだろうって流されそうになったけど。
やっぱりそんなこと、出来なかった……」
龍矢さんは僕が安心して戻って来られるように、こんなにも準備してくれていたのに。
一瞬でも氷室君に甘えようとした自分が、許せない……。
「お前がいなくなってからの時間は、本当につらかった。
それで、痛いくらいによくわかった。
俺は本当に心から、幸平が好きなんだって……。
もう絶対に。
何があっても絶対に……。
俺の元からいなくならないで……っ」
そう僕に訴える龍矢さんの瞳にキラリと光るものが見えて。
そんな龍矢さんを見ていたら、なんだかたまらなくなって。
僕はベッドから立ち上がると、彼の元へゆっくりと近づいて。
立ったまま、ぎゅっと。
龍矢さんを抱きしめた。
最初のコメントを投稿しよう!