第二十二歩目

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龍矢さんからの思いがけないプロポーズに、僕の目に一気に涙が溜まった。 「もちろん、実際には籍を入れられないし。 俺達の間だけの誓いにはなるけど。 俺は、本当の結婚と同じ気持ちでいるから。 だから、真剣に考えて。 幸平。 俺と結婚してくれる?」 そう言って、龍矢さんが僕に手を差し出した。 そんなの、答えは決まっている。 もう僕には、何の迷いもないから……。 僕は龍矢さんの手にそっと手を置くと、「はい」と静かに返事をした。 すると、龍矢さんはにっこりと笑って。 僕をそっと抱き寄せた。 「愛してる、幸平」 甘く囁く彼に、僕もぎゅっとしがみついて。 「愛してます、龍矢さん」 そう伝えた。 本当に心から愛してる。 付き合ってからの期間は、まだ短いけれど。 時間なんて関係ない。 きっと、これは運命なんだ。 僕らが経験したあの悲しい過去の恋愛は、僕らが出会うために必要だったことで。 そこから始まって。 一歩、また一歩と、二人の距離が近づいて行ったんだ。 もう絶対に離れない。 僕は、幸平という名前の通り。 きっと幸せになれる。 真っ直ぐで強い心を持った 龍矢さんと一緒にいる限り……。
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