第二十二歩目

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・ ・ ・ 「柏木さ~ん、第一課宛の郵便物で~す」 「あ、こっちはお荷物で~す」 通路から媚びるような声を出して、柏木に声をかける総務の女の子二人。 柏木は仕事の手を止めて、カウンターに向かった。 「これで全部ですか? ありがとうございます」 荷物を受け取った柏木は、にっこりと笑った。 柏木の笑顔に、顔を真っ赤にさせる二人の女子社員。 立ち去った後で、キャーという声が通路に響いていた。 「なぁ、柏木」 俺は、みんなのデスクに郵便物を配っている柏木に声をかけた。 「それって、アシスタントさんの仕事だろう? 柏木がやんなくてもいいって」 「そうよ、柏木君。あたし達アシスタントがやるわよ」 向かいに座る八田ちゃんが言った。 「でも渡されちゃうと、そのままにしておけなくて」 そう言って柏木は、残りの郵便物もあっという間に配ってしまった。 そんな柏木を遠目に見ながら、八田ちゃんが怒ったようにフンと鼻から息を吐いた。 「最近の総務の子達、一体何なのかしら。 確かにカウンターから一番近い席にいるのは、柏木君だけどさ。 近くにあたしがいるのに、完全に無視して柏木君に声をかけるのよ。 っていうかさ、前は無言でボックスに入れるだけだったのに、どういう風の吹き回し?」
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