2513人が本棚に入れています
本棚に追加
「あからさまなあの態度を見てれば、わかるっしょ?
柏木目当てなんだよ」
俺がそう言うと、八田ちゃんが大きく頷いた。
「だよねぇ。
最近の柏木君、女子社員の間で人気急上昇だもん。
笑顔がめちゃくちゃ可愛いって」
俺は、チラリと柏木に視線を移してみた。
柏木は結城課長とパソコンの画面を見ながら、何やら楽しそうに話している。
その笑顔のまぶしいこと。
ここに来たばかりの柏木は、暗くておとなしくて。
話しかけても、大した返事はなかったのに。
最近は明るくなって、話しかけやすくなった。
「なんか、綺麗になったよなー……」
思わずボソッと、本音が漏れた。
「うん……。
綺麗だよね。
男の子に言うセリフじゃないけど。
でも、なんか幸せオーラが出まくってる。
まるで結婚が決まった女の人みたいだよねー。
きっと、プライベードが充実してんでしょ。
恋人でも出来たんじゃない?
本村君、先越されたわね」
「げっ!」
そうだよ。
柏木に恋人が出来たんなら、この課で彼女がいないのは、俺と結城課長だけになったってことじゃん!
でも結城課長は、あえて独身でいるって感じの人だし。
作ろうと思えば、いつでも作れるわけで。
結局寂しいのは、俺だけってことかーーー!
なんだか、ガクッと肩が落ちてしまう俺だった。
最初のコメントを投稿しよう!