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龍矢さんの意味深な言葉に、第一課のみんなの動きが止まる。
「えっと……。幸平って誰?」
ザワつくみなさん。
すぐに僕には結びつかないらしい。
「あっ、わかった! 柏木君じゃない?」
八田さんがそう言った途端、みんなが一斉に僕の方を向いた。
「えっ、なんで呼び捨て?」
「二人で用事って、一体どこへ行くの?」
「おい、柏木! いつからそんなに結城課長と仲良くなったんだよっ」
みんなに質問攻めにされて、僕は思わず後退りした。
だから、名前で呼び合うのはまずいんだ。
普段のクセが、つい出てしまうことがあるから。
どうしようとうろたえていたら、龍矢さんにガバッと肩を抱き寄せられた。
「みんなで飲みに行くのは、また今度な。
以前から予約してあるから、どうしてもキャンセル出来ないんだ。
悪いな。
じゃあ行こうか、幸平」
僕の肩を抱いたまま、甘いマスクで優しく微笑む彼。
「た、龍矢さん……っ」
も、もうっ!
みんなの前で、こんなふうにベタベタしたらまずいでしょう?
困惑していたら、いつの間にかみんながギョッと目を大きく見開いていた。
「「「た、龍矢さんーーーーー?」」」
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