第二十二歩目

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龍矢さんの意味深な言葉に、第一課のみんなの動きが止まる。 「えっと……。幸平って誰?」 ザワつくみなさん。 すぐに僕には結びつかないらしい。 「あっ、わかった! 柏木君じゃない?」 八田さんがそう言った途端、みんなが一斉に僕の方を向いた。 「えっ、なんで呼び捨て?」 「二人で用事って、一体どこへ行くの?」 「おい、柏木! いつからそんなに結城課長と仲良くなったんだよっ」 みんなに質問攻めにされて、僕は思わず後退りした。 だから、名前で呼び合うのはまずいんだ。 普段のクセが、つい出てしまうことがあるから。 どうしようとうろたえていたら、龍矢さんにガバッと肩を抱き寄せられた。 「みんなで飲みに行くのは、また今度な。 以前から予約してあるから、どうしてもキャンセル出来ないんだ。 悪いな。 じゃあ行こうか、幸平」 僕の肩を抱いたまま、甘いマスクで優しく微笑む彼。 「た、龍矢さん……っ」 も、もうっ! みんなの前で、こんなふうにベタベタしたらまずいでしょう? 困惑していたら、いつの間にかみんながギョッと目を大きく見開いていた。 「「「た、龍矢さんーーーーー?」」」
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