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「あ……」
し、しまった!
つい僕も、龍矢さんって名前で呼んじゃった!
「何? なんか二人、怪しくないですか?」
「やだー。ここから見てると恋人同士みたーい」
「ちょっとー。どういうことか説明してくださいよー」
まずい。
バレた。
付き合っていること、バレたーーー!
『幸平、ずらかるぞ』
龍矢さんに耳元で言われて、僕は椅子の上に置いていたカバンを手にした。
「じゃあなー。みんなお疲れー」
僕の手を引いて走りながら、第一課のみんなに手を振る龍矢さん。
「お疲れ様でしたー」
僕もペコリと頭を下げて、事務所を後にした。
当然、事務所内は大騒ぎ。
僕らは急いでエレベーターに乗り込んだ。
二人きりの静かなエレベーター内。
はぁはぁと息を切らしていたら、龍矢さんが突然僕の顔を見てプッと吹き出した。
「お前、さらに墓穴を掘ったよな。
俺が幸平って呼んだだけなら、あそこまで騒ぎにはならなかったと思うぞ」
そう言って龍矢さんが、ククッと喉を鳴らした。
「ご、ごごごめんなさい。
なんでみんなの前で名前で呼ぶのー?って内心龍矢さんのことを怒ってたんですけど、僕の方がよっぽどまずいですよね」
あぁ……。
僕って、どうしてこうもドジなんだろう。
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