第二十二歩目

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「あ……」 し、しまった! つい僕も、龍矢さんって名前で呼んじゃった! 「何? なんか二人、怪しくないですか?」 「やだー。ここから見てると恋人同士みたーい」 「ちょっとー。どういうことか説明してくださいよー」 まずい。 バレた。 付き合っていること、バレたーーー! 『幸平、ずらかるぞ』 龍矢さんに耳元で言われて、僕は椅子の上に置いていたカバンを手にした。 「じゃあなー。みんなお疲れー」 僕の手を引いて走りながら、第一課のみんなに手を振る龍矢さん。 「お疲れ様でしたー」 僕もペコリと頭を下げて、事務所を後にした。 当然、事務所内は大騒ぎ。 僕らは急いでエレベーターに乗り込んだ。 二人きりの静かなエレベーター内。 はぁはぁと息を切らしていたら、龍矢さんが突然僕の顔を見てプッと吹き出した。 「お前、さらに墓穴を掘ったよな。 俺が幸平って呼んだだけなら、あそこまで騒ぎにはならなかったと思うぞ」 そう言って龍矢さんが、ククッと喉を鳴らした。 「ご、ごごごめんなさい。 なんでみんなの前で名前で呼ぶのー?って内心龍矢さんのことを怒ってたんですけど、僕の方がよっぽどまずいですよね」 あぁ……。 僕って、どうしてこうもドジなんだろう。
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