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「あー、やっと今夜から幸平と同じベッドで眠れる。
今まで別々に寝てたからなあ。
マジで嬉しい」
そう言って龍矢さんが、僕をぎゅーっと抱きしめた。
実は僕らはこのマンションに引っ越してから、一度も一緒に寝ていないのだ。
それは、ベッドが届いていなかったからとかではなく。
ここへ引っ越した直後、龍矢さんは何を思ったか、結婚式を挙げるまでは僕と寝ないと言い出して。
だからつい昨日まで、僕だけ広いダブルベットに一人で寝て、龍矢さんはソファーで寝ていたのだ。
「つうわけで、さっさと風呂に入ってベッドに行こうか」
僕の耳元で囁く龍矢さん。
「俺ら、晴れて結婚式も挙げたわけだし。
今日は新婚初夜だぞ。
明日は休みだし、好きなだけ出来るよな」
「えぇっ!」
「何驚いてんだよ。
この俺が、何週間もお前を抱いてないんだぞ?
死ぬほどつらかったんだから、俺の気が済むまで眠らない覚悟はしてもらわないと」
「なっ。
だったら、そんな禁欲生活なんてやめておけば良かったじゃないですか。
変なところにこだわるから、しんどい思いをするんですよ」
「バッ。お前、わかってないな!
全然わかってない!」
軽く言い合いをした後、僕らはなんだかおかしくなって、二人で顔を見合わせてクスクスと笑った。
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