第二十二歩目

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「あー、やっと今夜から幸平と同じベッドで眠れる。 今まで別々に寝てたからなあ。 マジで嬉しい」 そう言って龍矢さんが、僕をぎゅーっと抱きしめた。 実は僕らはこのマンションに引っ越してから、一度も一緒に寝ていないのだ。 それは、ベッドが届いていなかったからとかではなく。 ここへ引っ越した直後、龍矢さんは何を思ったか、結婚式を挙げるまでは僕と寝ないと言い出して。 だからつい昨日まで、僕だけ広いダブルベットに一人で寝て、龍矢さんはソファーで寝ていたのだ。 「つうわけで、さっさと風呂に入ってベッドに行こうか」 僕の耳元で囁く龍矢さん。 「俺ら、晴れて結婚式も挙げたわけだし。 今日は新婚初夜だぞ。 明日は休みだし、好きなだけ出来るよな」 「えぇっ!」 「何驚いてんだよ。 この俺が、何週間もお前を抱いてないんだぞ? 死ぬほどつらかったんだから、俺の気が済むまで眠らない覚悟はしてもらわないと」 「なっ。 だったら、そんな禁欲生活なんてやめておけば良かったじゃないですか。 変なところにこだわるから、しんどい思いをするんですよ」 「バッ。お前、わかってないな! 全然わかってない!」 軽く言い合いをした後、僕らはなんだかおかしくなって、二人で顔を見合わせてクスクスと笑った。
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