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「柏木は、入社二年目で〇×営業所ナンバーワンの売り上げを出したんだよ」
この優しい声は……。
「えーっ、マジ? ナンバーワン?」
「都会の方がもっと売り上げを出せるだろうってことで、それで俺のところで面倒見て欲しいって辞令が出たんだ」
「うわぁ、そうだったんだー」
意外そうに僕のことを見ている本村さんと八田さん。
「失礼かもしれないけど、そんなやり手には見えなかったわ」
「俺もー。おとなしそうだし、内勤の人かと思った」
「こら、お前ら口を慎めよ。
ごめんな、柏木。こいつら口が悪くて。
悪気はないんだ。許してやってくれ」
結城課長が、申し訳なさそうに言った。
「だって、やり手営業マンって言ったら、結城さんみたいな人を想像するじゃないですか」
「俺みたいって?」
「爽やかな笑顔でしょー? ハッキリとした話し方に、それから堂々とした立ち振る舞い」
「本村。俺を褒めたって、お前のミスをチャラにはしてやらないぞ」
「えーっ。お世辞じゃなくて、ホントのことを言ってるのに」
僕を挟んで勝手に会話が繰り広げられている。
っていうか、結城課長。
いつまで僕の肩に手を置いているんだろう。
甘い香りで、なんだか酔ってしまいそう……。
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