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「え……? 歓迎会ですか?」
「決算期で忙しくて、ちょっと中途半端な時期にはなっちまったけど。
柏木の歓迎会をしてなかっただろう?
だから今週の金曜日、開くことにしたから」
それは吹く風が少し柔らかくなった3月の中旬のこと。
僕の隣の席に座る本村さんが、にっこりと笑いながら言った。
「あの……、そういうの僕、別にいいので。
皆さんお忙しいのに、わざわざ僕のために時間を割いていただかなくても……」
「なーに言ってんだよ。これはウチの上司命令!」
「上司命令?」
「そう。結城課長の命令だから、絶対に従うように」
「結城課長……ですか」
ポツリと呟いた後、肩が勝手にガクッと落ちた。
「どうしたんだよ、柏木。浮かない顔して」
「あー、えと……。僕、結城さんがちょっと苦手で」
僕の言葉に、本村さんがぎょっと目を見開いた。
「苦手? なんで?
あんな良い課長さん、どこにもいないだろう?
仕事は出来るし、頼りになるし、優しくて面倒見も良いし、しかも超かっこ良くて。
あの人を苦手とか言うのって、柏木だけなんじゃないの?」
確かに上司としてはすごいと思うし、尊敬出来る人だっていうのは、こっちに来てすぐにわかったことだけど。
でも……。
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