第2章 強く儚い者達

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夜21時過ぎに、今度は燿馬がやってきた。 自転車とはいえ、真っ暗い道だから交通事故が心配なのに、高校生は元気が有り余ってるみたい。 久しぶりに合う燿馬は確かに目つきが別人のようになっていた。 「これ、おみやげ。親父がダッチオーブンで焼いたチーズケーキ」 「ありがとう。晴馬君のチーズケーキ久しぶりね。夕方は夏鈴がおはぎをもってきたのよ。それに、恵鈴も来てくれて。今日は賑やかね」 燿馬は落ち着いた大人の男のように薄く微笑んで頷いた。 「あのさ・・・。相談っていうか、お願いがあるんだけど」 「なに?今、温かい飲み物淹れてあげるから座って」 ウインドブレーカーを脱いだ燿馬の身体はより大きくてしっかりとしてきていた。もう少年ぽさが大分薄れてきていて、腕には細身ながら筋肉がついていた。手足が長い晴馬君ゆずりのスタイルの良さが光っている。髪型もオシャレに目覚めたのか、今までとは違ってモデルさんみたい。 「良い髪型ね。どこで切って貰ってるの?」 「親父のお客さんの美容室。カットモデルになれば無料だからって、頼まれちゃって」 モデルに雇いたくなる顔してるもの。なんだか、嬉しくなっちゃう。 「あのさ、美鈴ちゃん。恵鈴からもう聞いたかもしれないけど、俺と恵鈴のこと」 「ええ、聞いたわよ」 「どう、思ったか正直な感想を聞きたいんだけど」 「どうして?」 「だって、どう考えたって俺と恵鈴は兄妹だ。それなのに、お互いに本気で好きになって・・・。時間が経ったら気持ちが変るかもしれないし、この気持ちがずっと続くのかわからないなって思ってる。そんなことをあいつに言えば、泣き虫だからさ。まだまだ、平常心には程遠いんだよね。客観的意見を聞きたいんだけど、似たような立場になった人の意見とか聞きたくて」
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