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「みっちゃんが、おばあちゃんで良かった」
恵鈴がホッとした様子で、紅茶を飲む。
嬉しい事を言ってくれる孫娘の行末を想うと、私の知らない大変な人生があるのかもしれないけど、この子達の魂はもともとひとつだったのだと夏鈴が言っていたことを思い出した。
「ところで、恵鈴は将来何になりたいの?」
「え?」と、驚いた顔をする。
そして、すぐに頬を赤らめてまたモジモジしながら、「燿馬と二人で暮らしていきたいから、私は家事全般できるように花嫁修業をしてるの」と教えてくれた。
「ハウスキーパーのプロを目指すつもりでしっかりやるのよ」
「・・・プロ?」
「やるならプロ目指しなさい。
磨いて身に着いた技術は身を助けてくれるわ。
一人でも生きていけるスキルを身に着けることよ」
「一人でも生きていけるスキル・・・」
恵鈴が少し泣きそうな顔になった。
あらら、この子。本当に一人で生きて行けって言われたように受け止めちゃったのかしら。そんなこと一言も言ってないのに。
「恵鈴。一人で生きていけってことじゃなくてね。
人間て脆いから、時には病気や怪我で働けなくなることもあるかもしれない。
そんなとき、夫婦のどちらもプロレベルのスキルがあったら
生活を支えられるでしょう?
生きていくためには、何かを提供して生活の糧を得なくちゃならないんだもの。
お爺ちゃんが必死で畑を開墾してくれたおかげで今の豊かな実りの恩恵を受けられる。
食べるものを作り出すスキルは直接私達の食料問題を解決してくれてるわ」
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