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「あ、本当だ。わざわざお店で買わなくても、お爺ちゃんの畑には沢山食べるものがある」
「そうよ。食べるものを作るって凄く大事なお仕事でしょう?
私はもう引退したけど、看護師をして沢山の患者さんと知り合ってこの町に馴染むことができたわ。夏鈴の功績も大きくて、波戸崎家の不名誉を挽回できたしね。
仕事って一長一短ではないけれど、やりがいがあって自分も幸せに感じられると心の健康にも貢献してくれる。
誰かの能力に助けられて、自分の能力で誰かを幸せにする。
豊かさを分け合いながら共存してる。
そういう仕事を持つことが幸せな人生には大切な要素よ。
お金を稼ぐだけじゃなく、それ以上に豊かさを感じられる人生を送れる。
恵鈴にも、きっと適任な仕事があるはずよ。
それを探してみると良いわ」
「うん、わかった。
私、自分のことしか考えてなかったけど、色々と考えてみる。
ありがとう、みっちゃん」
恵鈴は紅茶を飲み終わると、畑の父さんに会いに行ってから自転車で自宅に帰って行った。
「もうすぐ大人になるのね。あの子も・・・」
夕闇が迫り来る風景の中を散歩した。
「あなたと私で、燿馬と恵鈴を応援してあげましょう?」
「そうだね」と、心の世界にいる夏希が優しく微笑んで頷いた。
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