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似た立場になったって?私が?
「ごめんね。質問にはちゃんと答えるけど、その前に聞きたいの。どうして私が?」
「美鈴ちゃんは一瞬で夏希さんと運命の人だってわかったんでしょ?」
なるほどね。そういうことか。
さすが、燿馬。
押さえるところをわかってる。
「あなたにとって恵鈴が運命の人か、心配なのね?」
「違う、反対だよ。っていうか、どっち道同じなんだけどね・・・」
左頬を引きつらせるような苦笑い。
この仕草、少しだけ夏希に似てる気がする。
「間違いを恐れるなっておふくろは言うけどさ。
俺達の場合、取り返しつかないだろ?
あいつが将来、俺以外に本当に好きになる人がこの先現れるかもしれない。
その時に、実の兄とそういう経験があったら
あいつは自分に自信持てなくなるんじゃないのかって思って・・・」
「ものすごく真剣に考えているんだね、燿馬。
ずっと寡黙な子だったけど、実は内面では色んなことを見て考えていたのね。
今、すごく感動してるわ。あなた、良い男に成長してる」
私が褒めたら、燿馬は照れ臭そうにはにかんだ。
「慎重と臆病は紙一重って言うわ。
そこを乗り越えるには、相当な覚悟と勇気が要るわね。
じゃあ、教えてあげる。私と夏希がどんな風に結ばれたのか」
燿馬は真っすぐな目を向けて、頷いた。
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