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何かがおかしい。
ここに来てから何回そう思ったことか。
一つ。入寮の日、バスを降りたとたんにお迎えが湧いて出た。
一つ。田舎過ぎて最寄りのバス停から徒歩30分もかかる。
一つ。秘境の全寮制私立高校なのに、在校生が千人超え。
一つ。入学式に保護者は呼ばれず、代わりにバカみたいに来賓が多かった。しかもグローバル。
一つ。敷地は山2つ分まるまるあって、校舎も7つ。
などなどなどなど…………。
細かいことを入れれば「おかしいでしょ」とツッコミたいことはまだまだ山積みだ。が、しかし。
目の前でケンカしている男の先輩。彼ら以上に奇妙なものはないと思う。
アタシは愕然としてその光景を眺めていた。
「だからアブラゲには葱だろ!?」
夕飯の箸を置き、びっくりするくらいどうでもいいことで言い争う吊り目の先輩。どうしたことか、その先輩のヒゲが見る見るうちに伸びていく。
しかもなぜか、横に向かってぴよんと……まるで猫のヒゲみたいに。
「七味唐辛子に決まってんじゃねぇかコラっ」
相対する厳つい体格の先輩も異様に激怒していて……さらに恐ろしいことに、なんと口がどんどん大きく裂けていく。
鋭い牙がチカリと光って見えたのは、きっとアタシの気のせいだよね……?
「こら! ケンカなんかしてないでさっさと食べなさい!」
見かねて出てきた食堂のおばちゃんは………………ちょっと待て。
ハロウィンでもないのにツノ、ついてるけど?
何、このカオスな状況……。
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