4 分岐点な夏休み

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 去年まで、夏休みは待ち遠しくて楽しいものだった。  厄介なヒト達に会わなくて済むし。  日焼けが悪化しやすい体質のおかげで、堂々と引きこもっていられるし。  だけど人間、環境が変われば心境も変わるものらしい。  今年、まったく待ってないから。ホント、来なくてイイって。  三者面談があるうえ、お盆には寮が閉鎖されるとか…………なんの嫌がらせですかマジで。  もう義務教育じゃないんだから、いちいち親呼ぶ必要ないって……。  しかもこの学校、特にいろんな家の子がいるんだからさ、「帰省しない」って選択肢、絶対必要だと思うんだよね。  ……………………なんてウダウダ言ってる間にやって来ました夏休み。  恐怖の三者面談、うちの親。  なぜか両親。  サイテー……。  決定。地獄の夏休み。 「施設はわりと新しいな」 「明已ちゃん、お勉強ではもちろん一位なのよね? あなた、学業優秀者として授業料を免除されているんだから、恥ずかしくない行動をとりなさいよ?」  え……そうなの?  謎の推薦枠だった気がしてたけど、表向きはもしかして……?  ま、勉強は好きだからイイけどね。  やった結果が点数として可視化されるシステムは、アタシにはわかりやすい。  世の中、すべてがそう整然としてればイイのに。
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