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「アタシ無神経らしいんだよね……口も悪いし」
ここ数日……環境が変わったことに浮かれていたのかもしれない。
麗がニコニコと話しかけてくるものだから調子に乗って。言うべきじゃない本音が零れた。
…………どれが地雷だったのか、見当もつかないけれど。きっと正直にぶち抜いたのだろう。
「なんてゆーかさ……」
「ぅえええっ!? ホントですかぁ!?」
ごめん。
そう言いかけた矢先、突拍子もなく麗が絶叫した。虚空を見つめて。
……………………ヤバい。
これは違う。相当にマズい。
悩んだ自分が馬鹿だったとか思うよりもまず、この場を離れるべきかも。
「ロイちゃんっ!!」
「は……はぃ!?」
食べかけの定食もそのままに、こっそりと席から離れようとしていたアタシは、ジトッと睨まれ、思わず固まった。
謎のケモ耳がピンと立つと、やけに深刻に見えるから不思議だ。
「知らないんですか…………? この学校のこと……」
「え? まぁ……ってか、どういう意味よ」
さっきまでの異様な様子とは打って変わって、真剣な表情だ。
「咲舞老様が仰ったこと、聞こえなかったんですか!? 今、あんなにはっきりと思念を発してくださってたのに!?」
いつの間にかあたりはシンと静まり、食堂中に麗の声が響いていた。
チラチラと周りを見てみれば、ヒトの目が無数に集まって来ているのがわかる。
剣幕におされてまた腰を下ろしてしまったことを、アタシは本気で後悔した。
「サブローサマ…………?」
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