1 狐とお揚げ

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「アタシ無神経らしいんだよね……口も悪いし」  ここ数日……環境が変わったことに浮かれていたのかもしれない。  麗がニコニコと話しかけてくるものだから調子に乗って。言うべきじゃない本音が零れた。  …………どれが地雷だったのか、見当もつかないけれど。きっと正直にぶち抜いたのだろう。 「なんてゆーかさ……」 「ぅえええっ!? ホントですかぁ!?」  ごめん。  そう言いかけた矢先、突拍子もなく麗が絶叫した。虚空を見つめて。  ……………………ヤバい。  これは違う。相当にマズい。  悩んだ自分が馬鹿だったとか思うよりもまず、この場を離れるべきかも。 「ロイちゃんっ!!」 「は……はぃ!?」  食べかけの定食もそのままに、こっそりと席から離れようとしていたアタシは、ジトッと睨まれ、思わず固まった。  謎のケモ耳がピンと立つと、やけに深刻に見えるから不思議だ。 「知らないんですか…………? この学校のこと……」 「え? まぁ……ってか、どういう意味よ」  さっきまでの異様な様子とは打って変わって、真剣な表情だ。 「咲舞老様が仰ったこと、聞こえなかったんですか!? 今、あんなにはっきりと思念を発してくださってたのに!?」  いつの間にかあたりはシンと静まり、食堂中に麗の声が響いていた。  チラチラと周りを見てみれば、ヒトの目が無数に集まって来ているのがわかる。  剣幕におされてまた腰を下ろしてしまったことを、アタシは本気で後悔した。 「サブローサマ…………?」
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