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この子、電波系ってヤツなのだろうか。それとも……?
「何言ってるかわかんないんだけど。演歌とかかかってたわけ?」
「ロイちゃん…………」
「樺山さん危ないっ!!」
「へ……ぅぎゃっ!!」
何何何何!?
突然腕を掴まれたかと思ったら、床に引き倒されて、さらに頭上スレスレを高温の何かが通り過ぎた。
「大丈夫!?
蒼空先輩も天先輩もやめてください」
な……………に、あれ…………。
髪の毛がわずかに焦げたらしい。情けない体勢のまま見上げれば、今までアタシがいた椅子の上あたりを、白い火の玉が2つ、漂っている。
「しかし已月様!!」
「大恩ある咲舞老様を貶され黙っていることなど……!」
「上級生が新入生を襲うなんて学校としてあってはいけないことです。
それに彼女は何一つ知らされていません。本当に、知らないんです!」
どうもアタシを助けてくれたのは男の子のようだ。背中に感じる声は冷静で、柔らかい。
「已月様すみません、ララが何も教えてあげてなくて……」
支えてくれていた手がそっと離される。
「仕方ないよ、麗。
先輩達、早く狐火しまってください。樺山さんが怖がっています」
背中の子、よほど偉いヒトなんだろうか。
静かに注意され、バツの悪そうな顔で歩み寄ってきたのは、さっきまでくだらないケンカをしていた謎の2人。
プカプカと宙に浮かぶ火の玉をそれぞれに素手で掴むと、ぎゅっぎゅっと両手で握って消していった。
有り得ない……………。
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