納戸の意図

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「いや、俺の方こそ悪い。  まさか、納戸が立花さんに見取りをやらせるとは思わなかった。  大丈夫か? とりあえず、ここ出よっか」  安岡さんは硬い表情のまま、腰が抜けてへたり込んでいる私の腕を肩に回して立ち上がった。 「わぁ! ごめん! ちょ、重いよね……」 「大丈夫、大丈夫。いつも建築現場で、ぶっとい木材運んでるから!」  ……いや、それフォローつもり?  とはいえ、暴れるほどの気力はなく、そのままダイニングまで運ばれ、ゆっくり椅子におろしてもらった。 「今、紅茶いれるよ。えっと、それから……。確か、なんかあったよなぁ~」  安岡さんは棚を開けて、私が昨日買った『イチゴどら焼き』を3個取り出しお菓子籠へ入れると、テーブルの上に置いた。  なんで3個? まさか安岡さん、2個食べるつもりじゃなかろうな。  断固阻止だ! きっちり人数分、5個しか買ってないんだからね!  いや、めぐみさん、アレン、はなちゃんを『人数分』っていうのもおかしいんだけど……。  
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