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私がティッシュを何枚か引き出し、涙を拭い鼻を噛んで紅茶を飲みほすと、安岡さんは組んでいた腕をほどいて、二人分のカップを持って立ちあがった。
どうやら、紅茶のお代わりを用意してくれるみたい。
私はできるだけ詳しく、先ほど『見取り』で見たものを安岡さんに伝えた。
私自身かなり混乱していたから、正直うまく見取りができたどうか、自信も実感もない。
安岡さんに話しながらも、もしかして夢だったかもしれない、と半信半疑になりかけている。
でも、口を挟まず聞いていた安岡さんは怖いくらい真剣だし、時々唸るような声で「そうなんだよな……」って漏らす。
だから、アレは本当に『見取り』だったのだと思う。
納戸は、どうして私に見取らせたのだろう……。
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