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「すくなっ! ちょ、そっち、くれよぅ~」
図々しくも、半分残っている方を指さしてきた。
ちょっと優しくすりゃ、調子に乗りやがって!
「はははっ。仕方ないなぁ~」
私は同じ言葉を吐きながら、イチゴどら焼きを差し出すと見せかけて、自分の口に押し込んだ。
「うわっ、ひでぇ! しかも、なにそれ? 大人げねぇ~~!!」
酷い言いようだ。
口の中は、イチゴと餡子とどら焼きの皮がぎゅうぎゅうに詰め込まれているから、何も言えない代わりに、もぐもぐ租借しながら、精一杯ドヤ顔でやり返した。
そして全て飲み込んでからニヤリと笑って、さっきのひと口サイズの方もポーンと口に投げ入れた。
欲しがる安岡さんの鼻先で食べるイチゴどら焼きは、今ままで一番美味しいどら焼きだった!
「ドエス!」
安岡さんがどさくさに紛れてなんか、言ってる。
私は、にっこり笑って見せた。
ただし、目は笑っていないからね!
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