25人が本棚に入れています
本棚に追加
確かに、長年の習慣を変えるのは難しいし、家事全般全く自信のない私に代わり、掃除洗濯、料理を器用にこなす安岡さんは、今どきの『主夫』が天職と言えるかもしれない……と、最近思い始めた。
とはいえ、専業主婦だってパートに出て家計を助ける昨今、専業主夫の安岡さんにも食費くらい入れてもらわないとね。
ただでさえ、軽く3人分くらい食べるんだから、あの人は。
育ち盛りの高校生どころか、三十路すぎのおっさんのクセに!
それから、2人目の同居人、青木めぐみさんなんだけど……
彼女はDID(Dissociative Identity Disorder)の略、日本語で言うと「解離性同一性障害」という病気を持っている。
簡単に言うと、多重人格とか、二重人格とか言われているアレ。
青木めぐみさんの心の中には、現在2人の住人がいる。
一人は、アレン。イギリス人と日本人のハーフ、25歳、男性。
もう一人は、はな。8歳の女の子。
DIDの治療に関して、めぐみさんは最初、人格が分かれている自分を嫌悪し、自分以外の人格、特に男性であるアレンを怖がり、嫌っていた。
DID統合治療という、アレンとはなを自分自身に融合させる治療を望んでた。
けれど、それに反発したのはアレン。
自分の存在を消されてしまう恐怖から、乱暴になり……、揉めに揉めた。
方向性が見い出せなくて、苦しい思いをしていたある日。
アレンが決心した。
最初のコメントを投稿しよう!