納戸に纏わる人々

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   確かに、長年の習慣を変えるのは難しいし、家事全般全く自信のない私に代わり、掃除洗濯、料理を器用にこなす安岡さんは、今どきの『主夫』が天職と言えるかもしれない……と、最近思い始めた。  とはいえ、専業主婦だってパートに出て家計を助ける昨今、専業主夫の安岡さんにも食費くらい入れてもらわないとね。  ただでさえ、軽く3人分くらい食べるんだから、あの人は。  育ち盛りの高校生どころか、三十路すぎのおっさんのクセに!  それから、2人目の同居人、青木めぐみさんなんだけど……  彼女はDID(Dissociative Identity Disorder)の略、日本語で言うと「解離性同一性障害」という病気を持っている。  簡単に言うと、多重人格とか、二重人格とか言われているアレ。  青木めぐみさんの心の中には、現在2人の住人がいる。  一人は、アレン。イギリス人と日本人のハーフ、25歳、男性。  もう一人は、はな。8歳の女の子。  DIDの治療に関して、めぐみさんは最初、人格が分かれている自分を嫌悪し、自分以外の人格、特に男性であるアレンを怖がり、嫌っていた。  DID統合治療という、アレンとはなを自分自身に融合させる治療を望んでた。  けれど、それに反発したのはアレン。  自分の存在を消されてしまう恐怖から、乱暴になり……、揉めに揉めた。  方向性が見い出せなくて、苦しい思いをしていたある日。    アレンが決心した。     
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