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昼過ぎ。
安岡さんは今度は運送会社の『仕事訊き』に出かけた。
長距離トラックの助手席に乗って荷物運搬の仕事や、事務処理作業など……、運送関係の元締めのところに行って、仕事の有無を訊くのだそうだ。
「ふぅ~ん。ねぇ、やっぱり携帯持った方がいいんじゃない?
携帯ないと何かと不便でしょ?」
素朴な疑問を口にしたつもりだったけど、安岡さんはふっ、と鼻で笑った。
「あーいう仕事は、早い者勝ちなの。
その場ですぐトラックに乗りこめるように、みんな外で待ってるんだよ」
これ、常識! なーんて言ってる。
日雇い世界のルールって、弱肉強食なんだそうだ。
うん、まあ。『日雇い職歴』は長いのだし……、そういうことなのだろう。
そうして私は私で、休日にしかできないような。――撮り溜めのテレビ番組を見るとか、読みかけの本を読むとか。そんな休日時間をゆっくり過ごした。
めぐみさんが帰ってきたのは、夜の7時頃だった。
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