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いつもより少し遅い帰宅だった。
安岡さん作、大根と鶏肉の煮物とジャガイモの味噌汁定食と、めぐみさん作のサラダ(トマトときゅうりをオリーブオイルドレッシングで絡ませたものだった。美味しい!)を食べながら、何となく重い空気を感じつつ『今日の出来事』を聞く。
特に問題があるような話はなかったけれど、どことなく元気のないめぐみさんに、食後のデザート『イチゴどら焼き(めぐみさん用)』と、コーヒーを出した。
そして『何か、あった?』と尋ねるタイミングをあぐねていると、めぐみさんの方から遠慮がちに話を切りだされた。
「歩生さん。安岡さんって、既婚者だったりします?」
「えっ!? そうなの? いや、聞いてないけど……?
ヒモだったのは、知ってるけど、結婚してたの?
えーと……、待って。
以前、父親になるとかなんとか……、いや。あれは、えっと……」
「ふふふ。歩生さん慌て過ぎ! いろいろ聞きたくなっちゃう。
……あ、じゃなくて。
じつは、アパートの前で女性に呼び止められて『三郎と住んでるの?』って訊かれて……」
「えっ!? それって、まさか……」
私の脳裏に小池さんの顔が浮かんだ。
もしかして、まだこの辺りをウロウロしているのかもしれない。
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