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翌朝、携帯のアラームの音で起きると、めぐみさんはすでにキッチンに立っていた。
「ふわぁ~。おはよう~、早いね」
私が布団を畳みながら声をかけると
「おはよう。歩生さん、ちゃんと眠れた?」
清々しい笑顔で挨拶を返された。
キッチンからは何か焼いている香りがする。
「もしかして朝ごはん?」
洗面所で顔を洗ってキッチンを覗くと、キッチンカウンターの上に玉子焼き、ウィンナー、トマトときゅうりのサラダがワンプレートに乗っていた。
「冷蔵庫に入っていたんだけど……、雄大君、アレルギーとかないかな?
あとはバターロールを軽く焼いて……。
それでいいかな? 足りないかな?」
やや困惑気味に早口で言った後、
「たくみは好き嫌いがあって、朝はほとんど食べなかったから……」と小さく漏らした。
「大丈夫じゃないかな。冷蔵庫の中のものなら、小池さんが用意したものだろうし……。
私、雄大君起こすね!」
そう言ってリビングを見渡したけれど……。
――あれ? 雄大君はどこだ?
昨夜寝ていた雄大君の布団は空っぽで、目を泳がすと窓際に小さく丸まった毛布の塊がある。
完全に床に擬態してるなぁ。見逃すところだった。
「雄大君、起きて。おはよう~」
声をかけるけど、起きる気配がない。
「あれ? 雄大くーん? 起きて!!」
更に声を上げてゆさゆさ揺らすけれど、全く動かない。
もしかして……、具合が悪い!?
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