めぐみさんは、はなちゃん

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 昨夜も、もしかしてこんな感じだったのかな……。  昨夜の安岡さんの疲れた顔や、アレンの寝息を思い出して、私は苦笑いを浮かべた。  まあ、いいや。とりあえず小池さんの様子を……。  寝室のふすまを開けて覗き見ると、小池さんは静かに眠っていた。  中に入り、そっと額に手を当てた。  まだ少し熱いかな……。  あとで食べられるように、お粥だけ作っておくか……、と踵を返した。 「あれ? 誰?」  背中に声をかけられて、振りむくと小池さんが体を起こしている。 「立花です。具合どうですか? 何か飲みます? お粥は食べられそう?」 「あ、立花さん……。ごめんね。迷惑かけて。ホント、助かった」  小池さんはゆっくり立ちあがった。 「熱はもうだいぶ引いたから……。  明日も仕事には行けないけど、雄大を保育園には連れていけると思う」  いろいろありがとう、そう言いながらリビングへと足を踏み入れたところで立ち止まった。  私も小池さんの後ろからリビングを覗きこむと、はなちゃんと化しているめぐみさんと雄大君がテレビを観ていた。  どうして、はなちゃんってわかったか、というと……。  はなちゃんお気に入りの『魔法少女系のアニメ』が映っていたから。  いや、それだけじゃなくて……、画面で繰り広げられている変身シーンがちょーど映されていて。  いつものように、はなちゃんが主人公に合わせて呪文らしき言葉を発し、変身していたからだ。……いや、実際には変身できているわけではないんだけど……。  雄大君はというと、そんな『はなちゃん』を見ながら手を叩いている。  で……、私の前で突っ立ている小池さんはというと……、思った通り、『めぐみさん』のはっちゃけぶりを目の当たりにして、めちゃめちゃ固まっていた。  だよねぇ~……。
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