めぐみさんは、はなちゃん

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「あのさ、立花さん。そのぉ……」 「ん? あ、お粥お茶碗によそいます?」 「あぁ、うん。これ使って。半分くらいでいいわ」  私は渡されたお茶碗にお粥をよそい、トレイに乗せた。  私の分のオムライスも一緒に乗せる。  ダイニングテーブルでは、『子供たち』が楽しそうに笑い合っていた。  時々雄大君はスプーンを振り回して、先ほどの変身ポーズをしようとする。  するとはなちゃんが、 「雄大君、だめー! 食べてからー!」とお姉さん風吹かせて注意している。  私は微笑ましくて、ついつい顔がほころんだ。 「ねえ、あの人、なにもの?」 「え? あの人って?」  訝しんでいる横顔が、リビングに向いている。 「あぁー、えっと。めぐみさんは……、解離性人格障害という……」 「人格障害?」  今度は私の方をみて眉間にしわを寄せた。 「はい。――多重人格と言われている人格障害です。  めぐみさんは、めぐみさんの他に2つ人格があって、今は8歳の女の子で、――はなちゃんといいます」  私がそう説明すると、小池さんはまじまじとめぐみさんを見た。  雄大君とおしゃべりしているめぐみさんは、コロコロとよく笑う、少し舌ったらずの女の子、に見えると思う。 「演技じゃないの?」  小池さんは前を向いたまま、そうポツリと言った。   「じゃあ、一緒に食べましょうか?」  私はトレイを持ちあげて、リビングへと促した。
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