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「青木さんっていい人ね。
まあ、正直アレには驚いたけど……、雄大とあんなに仲良くしてくれるし……。
三郎が堅気の仕事始めたのも、彼女のためなんでしょう?
横取りするつもりなんてないけどさ……、つけ入る隙もないもんね」
まるっきり誤解している小池さんの台詞を聞いても、私は否定しなかった。
『安岡さんとめぐみさんは、そんなんじゃないですよ』って言えなかった。
その代わりに、ずっと気になっていた言葉が口に出た。
「小池さんは、安岡さんのことが好きなんですか?」
「えっ!」
さすがにストレートな質問すぎたみたいで、小池さんは一瞬にして眠気が覚めたというか、急に目力が蘇ったというか……、なんだかいつもの小池さんっぽくなった。
「あ、すみません。ストレート過ぎましたよね」
少し慌てて言い添えると、小池さんは声を出して笑った。
「いいのよ。そうね、好き、といえば、好きなのかも……、っていうか、未練?
でも正直、三郎そのものに未練というよりは、あの時三郎を追い出した未練かな……」
そう言うと、上半身を起こして布団の上で胡坐を組んだ。
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