納戸と私と彼らと彼女 ４

安岡さんの秘密

　
　日曜日。今日安岡さんが帰って来る。

　めぐみさんは、いつものように女性センターでの仕事に出かけ、私は週末担当の家事をだらだらとこなしていた。

　本当なら撮り溜めしているテレビ録画とか、読みかけの本とか、休日にやりたいリストが列をなして私を待っているわけだけど……、そんな気になれなかった。
　小池さんから聞いた話が頭から離れなかった。

　安岡さんは『旦那にはなれないけれど、父親役になれる』と小池さんに申し出た。

『こう見えても、赤ん坊のオムツ替えくらいならやったことあるんんだぜ！』と言って、やたらはりきっていたそうだ。

　安岡さんが何人かの女性の家を転々として暮らしていたのは、前に聞いた。
　いわゆる『ヒモ』生活をしていたことも。

　それってもしかしたら……、好きな人と家族になれなかったことがショックで、仕事も辞めてヒモ生活をするようになった……、とか。

　だったらここに住むよりも、元さやに戻った方がいいの？
　小池さんも未練があるようなこと言ってたし……、安岡さんのことを考えたら、背中を押してあげた方がいいのかな……。

　一人で考えていたって何の名案も生まれてこない、ってわかっているけど。
　気が付けば、いつも同じことをグルグルと考えて、解決には一歩だって進んでいなかった。