安岡さんの秘密

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*** 「私の部屋と作りは同じなんですね」  安岡さんの部屋に足を踏み入れると、後ろからめぐみさんの声がした。  わーっ! めぐみさんがいること忘れてた! 「そ、そっか、めぐみさん、安岡さんの部屋、初めてかぁー」  めぐみさんの登場によって、ぐつぐつ煮込んでドロドロになった頭に、冷水をぶっかけられたみたいにシャキーンとした。  やっと落ち着きを取り戻した気がする。  一枚しかない座布団をめぐみさんに譲り、並んで床に座った。  安岡さんは、私達の前で胡坐を組んでいる。 「えーと、コホン。  で? 聞かせてくれるんだよね?   ずばり、小池さんとやり直したい、というお気持ちは? どうなんですか?」  私はマイクよろしく拳を口元にあて、記者会見をするタレントを糾弾する記者の心意気で質問した。 「小池さんに言った『父親になろうか発言』ですが……、あれはプロポーズだったんですよね? 今でもその意志はあるんですか?」  更に追いうちをかけて、マイクの拳を目の前につきつける。 「はは、いやぁ、照れるなぁ~」  安岡さんは後ろ頭に手を添えて、気取ったポーズを取った。  なに、ソレ。全然面白くない……。  私が無言で横のめぐみさんを見ると、めぐみさんもしらーっと、白い目で安岡さんを見ていた。  わっ。めぐみさん、怒ってる? 「つまんないリアクションはいいから、早く答えてよ」  ファローのつもりで言ったんだけど……。 「あんたら、ほんっと、エスだな……」  安岡さんが恨めしい顔になって呟いた。  あら、失礼しちゃうわね。
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