安岡さんの秘密

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「え!? 私? 私は……、今は考えられないな……。特に好きな人もいないしさ」 「ふう~ん。あのな、一つ教えてやる。  前にな、安岡と結婚の話になってな。  その時『結婚したことねぇけど、新婚って楽しいのか?』って、しょっぼい顔して訊いてきたことがあってな。  何でも職場で新婚のやつがいて、めちゃめちゃ自慢してくるんだとよ。ついでに早く結婚したらどうか、とか言われるってさ。にがーい顔してたぞ、アイツ」 「えっ!」 「だから俺は『新婚だろうとなんだろうと、ありゃ地獄だ』って答えてやったけどな。  そんなわけだから、あいつの『妊婦の女房置き去りにして、ガキと一緒に連れ戻される疑惑』は消えたな。  ほんとに歩生の推理だけはあてになんねぇ。  ついで言うと、歩生が安岡締め上げる前から俺、チェンジしてたんだけどな!」  アレンはニヒルな笑いを向けながら、ドヤ顔で真相を告げる。 「ちょっと、どうしてすぐに教えてくれなかったのよ!?   私、安岡さんのこと締め上げちゃったじゃん!!」  「だって、面白れぇじゃん」  途端にいたずらっこの顔をして笑った。 「もう、アレンは! どうしてそうなの~」  冷たい無色どころか、はなちゃんにも負けないくらい可愛らしいピンク色の瞳で、嬉しそうに憎たらしいことを言んだから!  
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